閑話休題
色が記号になっている。ムダな言葉は一切なく動きとか、仕草の意味はイメージするだけの答えがあるようにも思える。私が受けたテストはただガラス張りの部屋の前である家族の、日常の風景を切り取って眺めているだけだった。父親らしき男が娘らしい女に何か言っている。二言三言話すと娘がびっくりしたように部屋を飛び出す。男は何事もなかったかのように机上の本を手に取る。読書。何分か過ぎた頃、母親らしき年増の女が沢山の袋を抱えて部屋に入って来る。上着を椅子にかけ、腕を捲って男に向かって何か言う。男は本から顔を上げない。時折読みながら会話をしているようだ。娘が部屋に戻って来る。娘はプリンと皿を持っている。いつのまにか話に加わりながら器用にプリンを皿に落とす。母親はその仕草をずっと見ながら娘と会話する。少し笑顔で何か言った。すると父親が本から顔を上げ、その言葉に何か言い添えたが娘の食べているプリンを見つけると今度はそのプリンから目を離さないで喋り続けている。数分間三人で会話、そして、閑話休題。母親は既に飯の支度をしている...と、そこまでで部屋は暗くなる。ガラスの向こうの風景は一瞬でシャッタ
ーが降ろされ、私は部屋から出される。隣の部屋でコートを受け取り今日は終わりである事を告げられる。帰宅。空は灰色で外は少し肌寒い。地下鉄の入口を降りて私は切符を買い、丁度入って来た電車に飛び乗る。地下鉄の中の人々は皆、魚のように眠っているのか。それとも俺が見て来たあの風景が、水族館の中の夢だったのか...ぼんやりとうつつの間を行ったり来たりしながら俺は、ゆっくり目を閉じる...
ーが降ろされ、私は部屋から出される。隣の部屋でコートを受け取り今日は終わりである事を告げられる。帰宅。空は灰色で外は少し肌寒い。地下鉄の入口を降りて私は切符を買い、丁度入って来た電車に飛び乗る。地下鉄の中の人々は皆、魚のように眠っているのか。それとも俺が見て来たあの風景が、水族館の中の夢だったのか...ぼんやりとうつつの間を行ったり来たりしながら俺は、ゆっくり目を閉じる...


