後ろにいる魔物2
cookin'というバンドは、演奏している僕が言うのも何だが決して演奏の上手なバンドではない(言い訳ではない。若干一名マイケルシェンカーばりの三線ソロを弾く人はいるが)そんなバンドをやりながら最近日々思うのが、どうも僕らはその魔物の出現(仮にア・バオア・クーとしようか)を実はひそかに心待ちにしていて、むしろ僕らは魔物の駒として突き動かされてるとさえ思えてならないのだ(どうかプログレとか言わないで頂きたい)曲のアレンジも、演奏の出来不出来も実はア・バオア・クーの仕業だとしたら...しかし優れた舞踏家のパフォーマンスにはこういったものは沢山宿っていたと思うし(例えば大野一雄氏のダンスはその動きから、色々な「匂い」が立ち上っていた)僕らが日々生活の中で感じるファンタジーというものは、決して遠い世界の出来事ではないという気がするのだ。
後ろにいる魔物
これから書く事は前から書こうと思っていたが、なかなか言葉にならなかった。実際今も書いていいのか悪いのか判らないが、でもやっぱり書く事にする。それは今僕がやってるcookin'というバンドの事だ。これを読んでいる方は既にご承知だろうがcookin'は最近CDを出した。「食卓」というフルアルバムだ。このアルバムは録音する前から「音のジオラマ」というものをイメージしていた。これはどういう事かと言うと、楽器を弾くと同時にそこで鳴るいわゆる「部屋鳴り」も一緒に録音し、曲中や曲の間に全く別の空間の音を混ぜ合わせ「何処かへ行く」「何処かに居る」という疑似的な風景を立体的な音像として捉えようとする試みだった。これは別に画期的な事でも何でもなく、ただ僕らが普段作曲や練習をしている家の「食卓」の響き、曲の中で思い描いた「景色」をもう少し目に見える(聴こえる)形にしたかったというだけの事だ(その出来はリスナーの方々に委ねます)録音が終わった頃から僕らもライブが多くなり「食卓」からの曲の他に、新しい曲も演奏するようになった。どうもその頃から、僕はバンドの演奏の途中に何とも不思議な感覚を覚えるようになった。それはいわば、音の後ろにある気配を感じるようになったのだ(僕は別に神秘学者でも霊能者でもないので、どうか怯えずに読んで頂きたい)その気配のようなものはいつでも感じるのではなく、演奏中のふとした瞬間からまるで座敷童のようにそこに居座るのだ。少し怖いような、でもどこか懐かしく暖かいような...僕の好きな漫画家に五十嵐大介という人がいるが(主な作品に「はなしっぱなし」「魔女」「そらトびタマシイ」等がある)彼の作品に出てくる不思議な生き物みたいなものをいつも想像してしまう。もしくはインドの神話に出てくるア・バオア・クーという幻獣のようなものなのだろうか?(インド・ラジャスターン地方もしくは中国のチトールにあるという「勝利の塔」の最下層に住む幻獣。色が無く薄い青い光を放つが肉眼では見えない。実体はあり桃の皮のような皮膚を持ち、絹のすれるようなか細い悲鳴をあげるという。常に眠り続けているが塔に人が入ってくると目を覚まし、その踵にくっついて塔の頂上を目指す。塔を上がる程色が付き、光も強くなる。螺旋階段の最上段で完全な姿を得る事が出来るがそこに至らなければ、絶望と苦痛にさいなまれ色と光を失い最下層まで転がり落ちていく。そして眠りにつき次の訪問者を待つ)
優しい歌
最近よくSADEの「LOVERS ROCK」を聴く。SADEはいい。内省的な歌が実に染みる。僕は昔からポップスが大好きだ。ロックなんか聴く前からずっとポップスに夢中だった。ポップスはいくら聴いてもポップスな所がいい。山下達郎の「SPACY」もよく聴いている。完全なジャケ買いだったがもう何年も聴き続けている。彼のラジオは彼が好きな事しか言ってない所がいいと思う。シュガーベイブは聴いたのが割と遅かったが「オレたちひょうきん族」のエンディングでかかっていたので曲は知っていた(彼が「アレンジが複雑なのは演奏が下手だから」というのはよく判ります)あとどうしても聴いてしまうのはCURTIS MAYFIELD「KEEP ON KEEPIN' ON」MARVIN GAYE「WHAT'S GOING ON」友達に編集してもらったISLEY BROTHERS BESTだ。まさにビタースウィートミュージック。黒人万歳!そしてサザンの「TINY BUBBLES」「KAMAKURA」桑田ソロ「FROM YESTERDAY」を友達の勧めで安価購入(当時の桑田佳祐の憂鬱は相当なものだったと痛感。人に歴史ありですね)BLUE NILEもALAN PERSONSもいい。みんなみんな、丁寧にいい曲を作った人達。独りの時間に、内側からじわっと温めてくれる優しい音楽が僕はたまらなく好きだ。
夢のはなし
僕の夢はいつもリアルタイムの事でなく、何年も前の話だったりする。20代前半の頃はよく高校生の時の夢を見た。高校生の時の夢は大体中学生だった。僕はどうやら過去の事に怯えていたり、いちいち後悔したりして生きているようなのだ。小さい頃はよく追われる夢をみた。あとよく覚えているのは何だかよく判らないが、もの凄く巨大な歯車の様なもの(もしくは巨大な球体)と砂粒程の大きさの自分との対比。それが一つの画面に収まっているのが何ともいえず奇妙な感覚なのだ。いや収まっているとは言えず実際ははみ出てる(?)太陽くらい巨大なものに潰されそうになりながらも尚生き延びている。そう、例えるならプロビデンスに飲まれそうになっているのかもしれない。そんな脅威を感じて僕は目覚める。よく漫画で主人公が「ウワーッ」て飛び起きるシーンがあるが僕は過去何度かそんな起き方をした事があった(友達の家に泊まった日にも...大変ご迷惑おかけしました)寝起きの頃はすこぶる弱気になっている。さすがに寝起きで絶叫する事はなくなったもののこの性質はこの歳になってもなかなか治らない。実に困ったものだ。


